PANDORAとChumby
アメリカ出張時、同僚のラリーの車に乗せてもらったときに彼がiPhoneアプリで”PANDORA”というインターネットラジオを聞いていた。普通のネットラジオかと思いきや、なんかポチポチと曲を選択したりしてる。
「ラリー、なんでラジオなのに次の曲とか選べるん?」と訪ねたところ、「これはPANDORAだから1時間に6回まで聞きたくない曲をスキップできるのさ。そのうち、自分の好きな曲だけ勝手に流れてくるようになるんだぜ。クールだろ、日本にないのかよ。ダセー」とのこと。
なんでも、リスナーの行動様式をデータベース化して、好みの曲を自動的に世界中のインターネット放送局から選んで流すというサービス。
・・・なんてすばらしいんだ。聞いているうちに進化するラジオ。というか、ラジオという名を借りた自動プレイリスト作成サービス。
早速、その日からPANDORA三昧の生活を送った。すごい。これは生活スタイルが変わる。高校時代に好きだったアーティストや名曲との再会、新しい曲との出会い。初めて聞く曲も私の好みに合わせて選んでくれるプレイリスト。自分の好きな音楽に包まれる幸せな生活。
しかし帰国後、なぜか日本からアクセスすると拒否される。サイトに行くと、「法律的にだめっぽいから、日本の人は聞けないんだよ〜、かわいそうにね〜。何とかしてあげたいんだけどね〜。」みたいなメッセージがでる。
で、ふとChumbyで遊んでいたところ、ラジオの項目に「PANDORA」ってあるではないか!まさか動かないだろうと思いながら、アクセスすると・・・、動いた・・・。
感動・・・。
Chumbyのちょっとチープなスピーカーがラジオ感を高めてくれて、かえっていい感じ。
しかし、この幸せも長くは続かなかった。ある日こんなメッセージが。
・・・ショック。
僕はなにも無料だから使わせろと言っている訳ではない。実際、PANDORAで再会・発見した曲をいつでも聴きたいからiTunesから購入したし、そういうことは僕だけではなく多くの人に当てはまると思う。
多くの人が多くの曲と出会うことで業界全体が健全に成長するべきなのに、そんなイノベーションの芽を摘んでしまうことは、結果的に不健全な音楽市場を作り、有能なアーティストの誕生を妨げることになると思う。
インターネットに国境はいらない。
すばらしいサービスがその地域特性に合わなければ自然淘汰される。
インターネットは有機的知識結合体という生物だ。
サービスを制御しようとする行為は、権力を使って生命をコントロールするようなものだ。
いつの日か日本でPANDORAが使えるようになることを願って、今日もChumbyで普通のネットラジオを聴く。